「ＮＯＮ ＳＴＹＬＥ」参加過去最多４４８９組の頂点…Ｍ１グランプリ

今年で８回目を迎えた漫才日本一を決める「Ｍ―１グランプリ２００８」決勝が２１日、東京・六本木のテレビ朝日で行われ、ＮＯＮ　ＳＴＹＬＥがオードリー、ナイツらを抑えて過去最多４４８９組の頂点に立ち、賞金１０００万円を手にした。結成９年目。大阪でのレギュラー番組を捨て、今年４月に上京。昨年までの「イキリ漫才」も変えて、つかんだ栄冠に石田明（２８）は「集大成を見せられた」と声を震わせ、むせび泣いた。

　優勝決定の瞬間、真っ白な衣装の石田明は頭を抱えながら号泣。井上裕介（２８）はぼう然としたまま、舌を出し「泣きたいところはあるんですけど（石田が）泣きすぎなんですよ」と感無量の相方に苦笑い。ボケ役の石田もひとしきり感情を出し切ると、「オレの涙腺（せん）！」と右足を叩き、自分自身にツッコミを入れ、喜んだ。

　２人は中学・高校の同級生。井上は大学に通いながらミュージシャンを、石田は芸人をめざし、音楽と漫才の二足のわらじで００年にコンビを結成。だが、兵庫・三宮駅前での路上ライブでは観客にどなられ、目の前で圧倒的歌唱力のコブクロを見て、音楽の道を断念。漫才一本にストリートでの活動は続け “Ｍ―１”ドリームへひた走った。

　０５～０７年まで準決勝進出も、戦い方に疑問を抱き、今年から井上のかっこよさをいじる代名詞「イキリ漫才」のスタイルをやめた。大阪でレギュラーを務めていたテレビ２本とラジオ１本を捨て、今年４月に上京。コンビ名の由来通り「形にはまらず自分らしく」の柔軟性が功を奏した。

　井上は１年間“優勝宣言”を繰り返し、「１週間前から胃が痛くなったけど、集大成になった」と石田。大会委員長の島田紳助（５２）は本番直前、初進出５組の乱戦について松本人志（４５）と話し、クオリティーの低さを危惧（きぐ）。第１０回での終了も考えていたというが、「レベル高いし、もう技術力と好み。僕のなかの圧勝。でもフリートークはダメです」と辛口な祝福。番組終了後には「行列のできる法律相談所」などの出演オファーが殺到した。

　賞金１０００万円の使い道は「実家のローンがあるので返済に。家で号泣しているオカンに喜びを伝えたい」と石田。井上は「同期にキンコンやダイアンがいて負けたくなかった。０６年に作詞作曲のＣＤを出したけど売れなかったので回収作業に入りたい」と夢見心地に現実をかみ締めていた。

　◆ＮＯＮ　ＳＴＹＬＥ　吉本興業所属。２０００年結成。ボケ役の石田明は１９８０年２月２０日生まれ。２８歳。ツッコミ役の井上裕介は１９８０年３月１日生まれ。２８歳。ともに大阪市出身。０６年に第３５回上方お笑い大賞最優秀賞新人賞、ＮＨＫ新人演芸大賞・大賞（演芸部門）、第４１回上方漫才大賞優秀新人賞など数々の賞を獲得。日本テレビ系「ラジかるッ」などに出演していた。今年４月に東京に拠点を移した。

　◆Ｍ―１グランプリ　漫才日本一決定戦。結成１０年以内ならプロ、アマ、所属事務所を問わずエントリー可能。決勝はダイアン、笑い飯、モンスターエンジン、ナイツ、Ｕ字工事、ザ・パンチ、ＮＯＮ　ＳＴＹＬＥ、キングコング（出番順）と、敗者復活となったオードリーの９組で争われた。

　◆決勝戦１位も…オードリー無念　○…２年連続のサプライズは起こらなかった。東京の大井競馬場で行われた敗者復活戦を勝ち抜いたオードリーは、勢いそのままに決勝戦でも６４９点で９組中１位を獲得。審査員の大竹まこと（５９）も絶賛。昨年のサンドウィッチマンに続く敗者復活コンビの優勝かと思わせたが、最終決戦では７人中２人支持と惜しくも２位（３位はナイツ）だった。

参照元：スポーツ報知