北野監督、自虐的映画ですいません…ベネチア国際映画祭

イタリア北部で開催中の「第６４回ベネチア国際映画祭」で、新設された「ＧＬＯＲＹ　ＴＯ　ＴＨＥ　ＦＩＬＭＭＡＫＥＲ！賞」を受けた北野武監督が３０日、贈呈式に出席した。監督は「すてきな賞なのに自虐的な映画ですいません」とあいさつ。新設された同賞は特別招待作品となった「監督・ばんざい！」の英語題名にちなんだもので、主催者は「将来にわたり活躍する人を表彰する」と説明した。

　映画祭主会場で開かれた賞の贈呈式にブラックのシックなスーツで登場した。今年の「カンヌ映画祭」では羽織袴にちょんまげのヅラ、ウケを狙った格好でレッドカーペットに登場したときとは大違い。緊張気味ながらも「こんなにすてきな賞をもらったのに（出品作が）自虐的な映画ですいません」。照れながらも"芸人たけし"なりのスピーチで観客を沸かせた。

　新設の賞は出品作「監督・ばんざい！」の英語題名にちなんだもの。主催者側は、同賞について「現役の映画監督で、将来にわたって活躍が期待される人を表彰する」と説明した。同監督は１９９７年に「ＨＡＮＡ―ＢＩ」で最高賞「金獅子賞」を受賞するなど同映画祭との縁が深い。

　北野監督は贈呈式に先立つ記者会見で「新しいチャレンジをしていることに対しての賞だと聞いている。自分自身も映画を撮る意味はまさにそうであり、実践してきた自覚はあるので（それを認めていただいたことは）非常に光栄に感じる」と話した。

　「監督―」は、自ら演じた映画監督が家族ドラマやホラーなどを次々手掛けて頓挫した揚げ句、詐欺師の母子らが繰り広げるコメディーを作るという独創的作品。日本映画への風刺を盛り込みつつ、映画自体への情熱を表現した。「『ＨＡＮＡ―ＢＩ』までが自分のひとつのスパンで『座頭市』で過大評価され、エンタテインメント映画とは？と悩んだ結果、（自分の）キャリアを壊そうと思った。それが『ＴＡＫＥＳＨＩＳ'』『監督・ばんざい！』だね」監督は自らの映画作りが新たな段階に入ったことを口にした。

参照元：スポーツ報知