吉本興業東京本部が「歌舞伎町」移転

吉本興業（本社・大阪市）が来年４月、かつて劇場候補地として物色していた東京・新宿の旧区立四谷第五小学校跡地に東京本部の事務所機能を移転させることになり６日、同社の吉野伊佐男社長や中山弘子新宿区長らが会見した。

　同跡地は歌舞伎町に近接。酒場や映画館など、娯楽施設が混在する街並みは、大阪・なんばグランド花月（ＮＧＫ、収容８７０人）周辺に酷似している。吉野社長は「歌舞伎町に魅力を感じている」と、将来的には近所に“新宿花月”を開く構想ものぞかせた。

　というのも、東京にＮＧＫ並み１０００人劇場を開くのは、１０年来の悲願でもあった。戦後は８０年に東京に進出し、９４年の銀座７丁目劇場以降、渋谷、新宿などに次々と劇場を開いたが、１０００人劇場となると、候補地が見つかっていない。７日にオープンする神保町花月は、演劇や若手用の劇場として稼働する。

　もともとは同跡地も、東京花月の有力候補地だった。しかし、３４年建築の同小を、区側は「できる限り面影を残してほしい」と要請。天井の高さなどから劇場化は断念した経緯がある。今回、事務所機能を移設するが、中庭はそのまま利用し市民に開放する予定。いずれは、体育館も借り受け資料館にする計画もある。

　「性風俗の町」から「安心して楽しめる町」へ再生する「歌舞伎町ルネッサンス」プロジェクトを進める中山区長は「エンターテインメントの核として、吉本さんに大いに期待している」。区側も劇場誘致へ協力を惜しまない姿勢を見せているだけに、今回の本部移転は、悲願の東京花月へ大きな前進となりそうだ。

参照元：nikkansports.com