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俳優・堤真一(43)の主演映画「クライマーズ・ハイ」(原田眞人監督)が5日、公開初日を迎えた。1985年の日航機墜落事故を題材にした横山秀夫氏のベストセラー小説が原作。事故報道の全権デスクとなった地方紙の記者を演じた堤は、本紙のインタビューに「大きな事故の死というものが大前提にあって、それを通して自分の人生をすごく考える映画だと思う」。自身の代表作になるであろう作品の撮影を事故取材に携わった記者さながらのまなざしで振り返った。

 堤は悠木和雅を演じるにあたり念入りな準備を経て撮影に臨んだ。自ら志願して全国紙の編集から印刷までを見学。撮影中も、群馬にいた約1か月間は撮影現場と目の前にあるホテルを往復するだけの日々を送った。覚悟を持って臨んだ作品。「役者もそうだったけど、緊張感のある現場だった。それがそのまま反映されて、ドキュメンタリーのような形になっていて、臨場感があふれている。完成を見て驚いた」全身全霊を注いだ作品だけに自画自賛した。
原作は02年1月から別冊文芸春秋に掲載され、03年8月に発刊。大きな反響を呼び、05年にはNHKでドラマ化。佐藤浩市(47)が悠木を演じ、優れた放送番組を表彰するギャラクシー賞優秀賞を受賞した。

 堤は原作、ドラマともに一度も目にすることはなかったという。「本では心理描写が細かく文字にされてるので、演技でも細かいところをやってしまう。でも、むしろ表現しないことの方がいい。分かりやすく演じてしまうことだけは避けたい。原作ファンを裏切るかもしれないが、自分たちなりの作り方をしていく方が大事。ドラマも、見ると浩市さんと同じになったりとか、わざと違うようにするかも分からない」

 撮影から1年がたち、ようやく公開を迎えた。事故を扱っただけでの作品ではない。「必死で生きて必死で仕事している人たちにエールを送る映画。事故による死というものが大前提にあって、それを通して自分の人生をすごく考える。一生懸命やって何か思うようにいかないとか、何でこいつだけ得すんねんとか、人生にあるじゃないですか。そういう人に『あんた頑張ってるの分かってるよ』って。そうやって支えてくれる映画だと思う」。正面から体当たりで向き合う姿勢を見せた堤にとっては、大きな意味を持つ作品になったに違いない。

参照元:スポーツ報知

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