勘太郎新境地、難役「道元」挑む

映画「ＺＥＮ（仮題）」（高橋伴明監督、０９年新春公開）に主演する歌舞伎俳優の中村勘太郎（２６）が、このほどロケを行っている岩手・奥州市の「えさし藤原の郷」で取材に応じた。

　０１年に牧瀬里穂とダブル主演した「ターン」以来となる映画で初の単独主演を務める勘太郎は、ひたすらに坐禅する「只管打坐（しかんたざ）」を教えとする曹洞宗の開祖・道元を演じる。電気カミソリで頭を丸めて撮影に臨む毎日に、あいさつで手を合わせる所作も自然と出てくるほどだ。

　道元役は「人生に波がない。エンターテインメント性に富んでいる今の作品の中で、道元を演じるのはそうとうな覚悟がないとできない」と難易度の高い演技が要求される。歌舞伎や舞踊、ＮＨＫ大河ドラマ「新選組！」にも出演した勘太郎は「動いてナンボの役者」という“動”のタイプ。しかし今回は坐禅が重要なキーワードで「静のパワーを強く感じますね。セリフがひとつひとつ重い。静の中で器の大きさを伝えたい」と目に力を込める。

　撮影前には道元の著書「正法眼蔵」などを熟読。昨年１１月には大本山の福井県・永平寺で４日間の修行を経験した。そうして高僧を再現した姿に、共演する内田有紀（３２）や藤原竜也（２６）、哀川翔（４６）らは演技を絶賛。高橋監督も「確かな演技。道元のきちっとしたものが伝わってくる」と評価している。

　新境地への挑戦に「見る人がどう思うかは考えてない。感じろ、どうだ、という。そういう映画です」と手応えを感じているようだった。

参照元：スポーツ報知