奥田瑛二、緒形拳さんの新作撮る…「偲ぶ会」で約束

昨年１０月８日に肝がんのために死去した俳優の緒形拳（本名＝明伸）さん（享年７１歳）をしのぶ「緒形拳さんを偲ぶ会」が６日、東京・グランドプリンスホテル赤坂で行われた。三國連太郎（８６）、岩下志麻（６７）ら日本を代表する俳優陣が顔をそろえ、生前に親交があった６５０人が参列。代表してあいさつした奥田瑛二（５８）は、緒形さん主演での新作映画を企画していたことを明かし、別れを悔やんだ。

　最期をみとった津川雅彦（６８）が都合により欠席したため、急きょ決まった代表あいさつ。あこがれの緒形さんの姿を思い浮かべながら奥田はひとこと、ひとこと、かみしめるように口にした。「もう一本、企画を立てて、緒形さんに話したけれど、今生（こんじょう）にはかないませんでした」実現することのない幻の企画があったことを打ち明けた。

緒形さんの最後の主演作「長い散歩」（０６年）を監督した奥田は、再び緒形さんをイメージして新作を企画していた。すでに台本も仕上がり、昨年６月ごろにクランクインすることまで決めていた。が、同時期に遺作ドラマとなったフジテレビ系「風のガーデン」の撮影が重なりやむなく延期。「一つのメモリーとしてウチに眠っている」

　悔しさをにじませながら奥田は誓った。「緒形さんの役は僕がやります。人にはやってほしくない」無念の気持ちを形に、自ら代役となり天国の緒形さんへとささげるつもりだ。

　奥田のほかにも三田佳子（６７）、西田敏行（６１）ら日本を代表する俳優仲間が「偲ぶ会」に足を運んだ。一般公開はされなかったが、ファンから約３００通のメッセージも寄せられた。

　俳優として志を受け継ぐ次男・直人（４１）は、感謝の気持ちとともに「父の役者としての心構えや準備、姿勢、そしてこの無念な思いを僕たち兄弟それぞれの中に生かし続け、上を向いて歩んでいくつもりです」と、尊敬する父に言葉を贈った。

自然を愛した緒形さんの遺影は、緑の花々に囲まれ、周囲には直筆の書画や映画賞のトロフィーなど無数の勲章が置かれた。「楢山節考」「鬼畜」「火宅の人」など代表する映画やドラマ、舞台作品を１５分にまとめた映像、歩んできた作品の道のりがぎっしり詰め込まれた年表も飾られた。偉大な足跡を物語る数々の作品は、参列者の別れを惜しむ気持ちを一層深いものにしていた。

　◆主な参列者　浅野忠信、安藤和津、池畑慎之介、石黒賢、石坂浩二、石田ひかり、石田ゆり子、市毛良枝、井上真央、内野聖陽、内海桂子、Ｇａｃｋｔ、かたせ梨乃、加藤剛、加藤雅也、神木隆之介、岸部一徳、小西真奈美、小林薫、小林稔侍、西城秀樹、斉藤由貴、坂本スミ子、清水美砂、竹野内豊、豊川悦司、名取裕子、成海璃子、仁科亜季子、倍賞美津子、原田美枝子、樋口可南子、平泉成、富司純子、藤真利子、萬田久子、八千草薫、若村麻由美（五十音順）

参照元：スポーツ報知