峰岸徹さん死去 入院中も頭の中は「仕事」だった

俳優の峰岸徹（本名・知夫）さんが、肺がんのため、１１日午後１１時３２分に都内の病院で死去していたことが１３日、所属事務所から発表された。６５歳だった。２週間ほど前に体調を崩して入院し、約１週間前から意識がなくなり、最期は家族にみとられ息を引き取った。葬儀は１４日以降に密葬で行われ、１１月初旬に「お別れ会」が行われる。峰岸さんを弟のようにかわいがっていた大林宣彦監督（７０）は「カット、ＯＫ！　さぁ飲もうか、と言ってやりたい」と故人をしのんだ。

　名バイプレーヤーが、７か月の闘病生活の末、力尽きた。

　この日、都内で会見した所属事務所の横田房七社長（６７）によると、峰岸さんは亡くなる１０分前、夫人や３人の子ども、孫ら家族の手を握り、息を引き取ったという。峰岸さんは昨年１１月に母親を亡くしており、社長は「お母さんっ子だったんです。早くお母さんのところに行きたかったんじゃないかな」と話した。

　長女は前妻との子どもで、すでに結婚して子どももいるが、現在の夫人との間に生まれた長男は高校生、次女は中学生。「子どもがまだ学生というのが、心残りだったと思う」と、社長は峰岸さんの気持ちを代弁した。

　峰岸さんは今年４月、「脊柱（せきちゅう）管狭さく症」と「腰ついすべり症」の合併症を理由に舞台を降板。腰の手術のための検査で、肺がんが見つかった。がんは「ステージ４」と診断され、骨にも転移。手術できない状態だった。横田社長は「たばこは吸わなかった。本人にしてみれば青天のへきれきだったろう」と振り返った。

　しかし、峰岸さんは趣味のトライアスロンで鍛えた不屈の闘志で、３週間に１回の抗がん剤治療を受けながら、７月には旅番組のロケで仕事復帰も果たした。

　９月に入ると、肺がんの影響で左肩の後ろが内出血するなど、体調が悪化。約２週間前に入院し、約１週間前に意識を失った頃からは抗がん剤もやめ、帰らぬ人となった。

　出演映画「おくりびと」の「モントリオール映画祭」グランプリ受賞をとても喜び、英語でスピーチをする練習もしていたという。また、入院後もＣＭ撮影の仕事を「あれ、どうなってる？」と気にかけていたという。

　本人と遺族の意向で、葬儀は１４日以降に密葬で行われる。１１月初旬に、峰岸さんが生まれ育った東京・銀座で「お別れ会」が開かれる予定だ。

　◆峰岸　徹（みねぎし・とおる）本名・知夫＝ともお。１９４３年７月１７日、東京生まれ。日大芸術学部在学中の６２年、峰健二の芸名で東宝映画「高校生と女教師・非情の青春」でデビュー。６４年に俳優座養成所入所などを経て６８年に大映と契約。芸名を峰岸隆之介に改め、７５年から峰岸徹とした。ＮＨＫ大河ドラマ「風と雲と虹と」、ＴＢＳ系ドラマ「高校教師」などで活躍。８６年に自殺した岡田有希子さんと交際していたと報じられ、話題となった。

　◆ジャッキー映画ヤクザ役で出演　○…峰岸さんは、来年公開のジャッキー・チェン（５４）主演の映画「新宿事件」にも出演。ロケは昨年、新宿の歌舞伎町や神戸で行われた。横田社長は峰岸さんについて「ヤクザの親分の役。ジャッキーと写真を撮っていた」と明かした。また、１１月発売のビデオ映画「東京マフィア」にも出演している。

参照元：スポーツ報知