「おくりびと」１０冠！オスカー取り弾み…第３２回日本アカデミー賞授賞式

◆第３２回日本アカデミー賞授賞式（２０日、東京・港区新高輪プリンスホテル）　第３２回日本アカデミー賞の授賞式が２０日、東京・港区の新高輪プリンスホテルで行われ、「おくりびと」が作品賞、本木雅弘（４３）の最優秀主演男優賞など１０冠を獲得した。本木らは外国語映画賞に候補入りしている米アカデミー賞の授賞式（２２日、日本時間２３日）に出席するため、２１日にロサンゼルスに出発する。最優秀主演女優賞は「ぐるりのこと。」の木村多江（３７）が受賞した。

　主要１３部門すべてで優秀賞に入っていた「おくりびと」が、１０部門で「最優秀」に輝いた。大トリの作品賞を制し、本木や監督賞の滝田洋二郎監督（５３）ら“ファミリー”が壇上に勢ぞろい。映画化を発案した本木は「難産な作品だったので、じわじわと深い喜び。こんなご褒美が待っているなんて奇跡と思います。この映画は作品賞がふさわしい」と喜びを語った。

　本木は１９９３年「シコふんじゃった。」（周防正行監督）以来、１６年ぶり２度目の最優秀主演男優賞。撮影では毎晩、チェロと納棺の所作を練習した。「役者として慎重さがコンプレックスだった。カメラの前に立つまで何が大切か本当に分からない。だから練習しました」その所作の美しさが絶賛された。滝田監督は４３本目の作品。「まだまだ撮り続け、映画の『おくりびと』であり続けます」と声を張り上げた。

　「日本」の次は「世界」を制す。アカデミー賞の外国語映画賞を受賞すれば、１９５６年に現行のノミネート方式になってから日本作品では初めて。本木、滝田監督、広末涼子（２８）、余貴美子（５２）は２１日にロスへ出発する。本木は「もうこれで打ち止めにしたい。ノミネートで十分。お伊勢参りのような、物見遊山のつもり」と控え目だ。滝田監督は「気分よく行けますね」と笑みをこぼした。

　チェロ奏者をリストラされ、戸惑いながらも成長していく納棺師を描いた同作は２７０万人動員、興収３２億円のヒット。モントリオール世界映画祭のグランプリを追い風に昨年９月１３日、２１９館で初日を迎えた。一時は３０館になったが、２１日から１８０館の拡大上映。公開２４週目での“３ケタ”は異例中の異例だ。

　「おくりびと」はこの日で国内外６０冠。米アカデミー賞で６１冠目に挑む。

　【助演男優賞】山崎努　また葬式もの　○…「おくりびと」で、本木と同じく納棺師役を演じた山崎努（７２）は、８５年には「お葬式」（伊丹十三監督）で最優秀主演男優賞を受賞しており、「お葬式に関係あるんですかね」。また０２年に「ＧＯ」（行定勲監督）で同賞を受賞した際には、最優秀主演男優賞を窪塚洋介（２９）が受賞していることもあり、本木は「山崎さんは福の神ですね」と祝福。しかし、本木は「山崎さんは（義父の内田）裕也さんと同じくらい苦手。たたずまいに慣れていくのが難しい。緊張します」とも明かしていた。

　【助演女優賞】余貴美子　台本読んで涙　○…「おくりびと」の余貴美子が受賞。黒の着物姿で登壇した余は「こんな格好しているのに、警備員に止められたり。それだけに思いがけないことで、胸が苦しくなってきました」とユーモアを交えながらあいさつ。劇中では葬儀会社の事務員役で「台本を読んだ時に涙しました。心に染みいる作品に出られてよかった」と振り返っていた。

参照元：スポーツ報知