小泉今日子、史上初快挙へ主演女優賞あるぞ３度目…報知映画賞 表彰式

◆第３３回報知映画賞・主演女優賞　第３３回報知映画賞の表彰式が１７日、東京・港区のザ・プリンス　パークタワー東京で行われた。「グーグーだって猫である」（犬童一心監督）、「トウキョウソナタ」（黒沢清監督）で７年ぶり２度目の主演女優賞に輝いた小泉今日子（４２）は大トリで壇上に上がり「映画の世界が大好き。これからもかかわっていきたい」と喜びをかみしめた。アラフォーの星として、史上初となる３度目の同賞受賞が現実味を帯びてきた。

　壇上で「７年前に同じ賞を頂きました。でも、授賞式の時に相米慎二監督は残念ながらお亡くなりになっていて…。１人で心細い気持ちでここに立っていた」と振り返った。今回はお祝いに駆けつけた犬童、黒沢両監督から、はにかみながら花束を受け取った。「２人とも来てくれるなんて…」心の底からホッとした笑顔を見せた。

　初受賞した２００１年の表彰式。うれしさと同じくらいの寂しさを抱いていた。受賞作「風花」の相米慎二監督（享年５３歳）が同年９月に死去。晴れ姿を見せることが、かなわなかったからだ。

　１９８２年に１６歳でデビューしたキョンキョン。人気アイドルから四半世紀を経て、今では映画界を代表する名女優に成長した。２度目の主演女優賞は松坂慶子（５６）、原田美枝子（４９）に続き、３３回の歴史で３人しかいない。２１世紀では初だ。

　同年代の女性を自然体で演じたことが高い評価を得た。「グーグーだって猫である」「トウキョウソナタ」でも、自身と同じアラフォーの女性に潜む「孤独」を浮き彫りにした。「２つの作品の女性は生きている場所が違いますが、それぞれが違う形で、孤独と向き合ってる。私自身も、そういう年頃かもしれない」４００人以上の関係者が見守るステージでも、冷静に自分を客観視できる余裕が、演技にもつながっている。

　来年以降もオファーは続々と届いている。期待されるのが、史上初となる３度目の主演女優賞だ。「信頼できる監督、優秀なスタッフ、一緒に戦う俳優…。みんなで頂いた賞なので、つつましい気持ち。３度目？　う～ん、今度は逆に花束を持ってお祝いに駆けつけたいですね」と謙そんするが、周囲は黙っていない。

　自らのことのように受賞を喜び「ぜひ、また仕事がしたい」と声をそろえた黒沢、犬童両監督。表彰式前に歩み寄って談笑した樹木希林（６５）、堤真一（４４）ら俳優仲間。さらに、天国から見守り続ける相米監督…。芸能界に数多い“小泉応援団”が、今後も自然とバックアップする。

　７年前の初受賞で「女優として２１世紀を頑張るためのチケットをもらった」と語った。２度目の戴冠（たいかん）に「映画にこれからもかかわっていきたい」と生涯女優宣言。３度目の受賞に向かい、小泉が歩き出した。

　◆小泉　今日子（こいずみ・きょうこ）１９６６年２月４日、神奈川・厚木市生まれ。４２歳。８１年「スター誕生！」で優勝し、翌年「私の１６才」で歌手デビュー。８３年「あんみつ姫」でドラマ初主演。“キョンキョン”の愛称でトップアイドルに。映画では８３年「十階のモスキート」に初出演し、８４年「生徒諸君！」で初主演。２００５年の「空中庭園」で「第４８回ブルーリボン賞」主演女優賞受賞。１１月２６日には歌手として５年半ぶりとなるアルバム「Ｎｉｃｅ　Ｍｉｄｄｌｅ」を発売した。

　◆グーグーだって猫である　吉祥寺に住む天才漫画家・麻子（小泉今日子）は愛猫のサバを亡くし失意の日々だったが、子猫のグーグーと出会う。グーグーと過ごす幸せの日々、恋の予感、新作のアイデア、いろいろなことがうまく動き始めるが、新作の準備中に倒れてしまい、思いがけないことを知らされる。漫画家・大島弓子さんの自伝的漫画が原作。犬童一心監督。

　◆トウキョウソナタ　リストラされたことを家族に言えない父（香川照之）、いつもつまらなそうな母（小泉）、米軍入隊前の長男（小柳友）、父に伏せてピアノを習う次男（井之脇海）。線路沿いのマイホームで、それぞれ葛藤を抱えながら暮らす４人家族に、ある日大きな変化が訪れる。今年のカンヌ国際映画祭「ある視点」部門で審査員賞受賞。黒沢清監督。

　◆報知映画賞　映画界の発展を願い、１９７６年に報知新聞社が制定。今回から選考方法を変更し、読者投票の結果を加味してノミネートされた作品部門の２０作品、個人部門の１０人の中から選考委員会で受賞者・受賞作を決定。公開規模、興収など作品の大小を問わず選考する特徴を持ち、賞レースのトップを切って発表、表彰するため、映画界から高い関心を集めている。

参照元：スポーツ報知