ＮＨＫが紙ナンバー付けた車“公開捜査”

　報道局記者らによる株のインサイダー取引疑惑に揺れるＮＨＫで２１日、新たにドラマロケ中の不祥事が発覚した。２０日に千葉・南房総市の市立中学校で、駐車中の車に無断で小道具のナンバープレートを張り付けたところ、回収前に車が移動。偽プレートを付けた自動車が２日にわたって公道を走った。同局はニュース番組で架空ナンバーを知らせ、情報提供を呼び掛けたところ、２１日午後９時すぎに車の所有者から連絡が入った。

　偽プレートは車を所有する南房総市に隣接する館山市在住の女性から、館山署への通報によって確認された。同署から連絡を受けたＮＨＫの番組担当者が謝罪の電話を入れると「違うナンバーが付いているのは１日中気付かなかった」と話していたという。しっかり張り付けられていた偽プレートは、ようやく車から外された。

　「今回は異例。私の知っている範囲では初めて」とＮＨＫ幹部もあきれる不祥事のきっかけは、２０日、南房総市立富山（とみやま）中学校で行われたドラマ「バッテリー」（４月３日放送開始）のロケだった。校門付近の駐車場に止めた３台の車のナンバープレートに、番組スタッフが所有者の了解を得ずに紙製小道具のプレートを張り付けた。地元の「袖ケ浦ナンバー」からドラマの舞台に合わせて「岡山ナンバー」にするためだった。

　通常ならば事前に了解を得るが、収録が短時間なことや同中がロケの協力を約束していたために手続きを省略。撮影終了後すぐに偽プレートを外さなかったところ、３台のうちの１台だったシルバーの軽自動車が移動。スタッフが気付いたのは約３０分後だった。

　スタッフは学校側に連絡し、地元の館山警察署に通報した。しかし、この日は約７００人が参加する地元の市民マラソン大会が同校近辺で行われており、車の特定は困難だった。そこで、２１日午後０時１５分からの「首都圏ニュース」（１都６県放送）などで、偽プレートのナンバー「岡山　５５０　ひ　６２－９１」を伝える“公開捜査”に乗り出すと、約９時間後にニュースを見て確認した所有者により発見された。

　午後には同局幹部が都内で緊急会見。「もう１度原点に戻って『ロケをやらせていただく』という気持ちを肝に銘じたい」と、謝罪した。

　館山署によると、偽ナンバー運転者は故意で張り替えておらず、公道を走っても道路交通法の罪に問われない。ＮＨＫ側も運行を想定していないことで同法には触れないが、無断で車に手を加えた行為に対し、所有者の訴えがあった場合、事件に発展することもある。ＮＨＫは２２日に番組プロデューサーが所有者の元を訪れ、謝罪する予定。番組責任者への処分と、ロケ部分の放送については今後検討される。

参照元：nikkansports.com